物流を取り巻く環境は人手不足やさらなる物量の増加など激しく変化しており、対応がますます重要な課題となっています。当社では、サントリー製品の膨大な物量を、安全・安心、且つ安定的に輸送するため、日本全国にわたるサントリーの物流ネットワークを活用し、統合配車システムによる効率的な拠点間輸送(工場から配送センター)、モーダルシフト推進、中継地点でのスイッチ輸送など、様々な取り組みを実施しています。また、オープン・プラットフォームを通じて、パートナー貨物(他社貨物)との協業をさらに推進し、強靭なサプライチェーンの構築を目指しています。

統合配車システム刷新で超効率化への挑戦

配車推進部は、サントリーの拠点間輸送において、輸送力確保による安定供給と効率配車による適正コストの両立を図るとともに、環境経営に貢献することをミッションとし、年間700万トンの拠点間輸送を実施しています。全国で約1600台/日の車両を手配しています。物流協力会社様のエリア・行程の強みを活かし、日本全国に強固な輸配送ネットワークを構築しています。特に長距離輸送においては、鉄道・海上輸送、トレーラーによるスイッチ輸送の取り組みにより輸送力の強化・複線化を図っています。

最適配車を生み出す「統合配車システム」とは

最適配車を生み出す「統合配車システム」は 、最適化アルゴリズムを搭載した自動エンジンで、サントリー貨物とパートナー貨物も含めた膨大な輸送データから、最適なルート化・往復化を図ります。

強靭な輸送ネットワークでトレーラー化率50%キープ

配車推進部では、年々増加する物量に対応するため、トレーラー輸送による大量輸送を実施。汎用性のある大型車を活用し、強靭な輸送ネットワークでベストバランスをキープしています。

輸送スキーム

スイッチ輸送

スイッチ輸送とは、1つの行程を1人のドライバーが運転するのではなく、スイッチ拠点で荷台(台車)を交換する輸送方式です。集荷地点周辺の納品先に輸送し、日帰り運行にすることでドライバーの負担を大幅に削減します。

  • 当社では、天然水の生産工場から集車困難エリアへの安定供給を目的に2カ所の中継拠点を開設し スイッチ輸送で運用をしています。日帰り運行のためドライバーへの負担削減にも貢献しています。
  • ①中継拠点:飯田事業所
    北アルプス信濃の森工場から中京圏(一部近畿圏)へ輸送
  • ②中継拠点:甲府事業所
    南アルプス白州工場から首都圏(神奈川・埼玉)への輸送

リレー輸送

リレー輸送とは、主に長距離輸送ルートの中継地点でドライバーを交替させて目的地までの一つの行程を複数のドライバーが分担して輸送を行うことです。1人あたりの拘束時間が短くなり、負担軽減につながっています。

ラウンド輸送

輸送車両は次の積地へ移動する際、少なからず空車回送が発生します。当社では、サントリー貨物だけでは補い切れない拠点間輸送の帰り荷としてパートナー貨物を運ぶことで空車距離最短化および輸送効率アップを図り、ドライバー不足にも対応してます。

パートナー貨物の混載輸送

トラックの重量制限があるため、重量貨物であるサントリー製品は2段積みができず、1段積みした荷台の上部には空きスペースができます。パートナー企業の紙製品などの軽量貨物を2段積みすることで、積載効率の向上を実現しています。

モーダルシフト

ドライバー不足の中で効率的に車両を活用するだけでなく、悪天候時や交通障害発生時にはベストミックスの配車をすることでトラックと併用し、安定輸送の実現につなげています。

ユニット(独自開発)

業界初、オリジナル31ftコンテナ開発・運用

飲料メーカーで初めて、観音開きコンテナを設計段階から総合車輌製作所と共同開発し、運用しています。従来のコンテナは両サイドの支柱の幅が広く、フォークリフトによる積込が不可でした(図1)。 共同開発では支柱幅を狭くし、55cm開口部分を広げることでフォークリフトの積込を可能にし、積載重量も増やすことができました(図2)。 また鉄道輸送中の振動にも対応できるよう、コンテナ素材も開発し強度を高めました。開発したコンテナは増トントラックと同量の貨物の輸送が可能となり、荷役作業の負担や時間短縮など、現場の作業効率アップに貢献しています。

45ftシャーシ開発・運用

オリジナル45ftシャーシは、コンテナ全長13.70m・車幅2.49m・高さ2.60m、パレットサイズ1.2×1.0m貨物で最大52パレット(2段)の積載が可能です。日本国内のコンテナシャーシの中でわずか1%未満と希少な仕様です。このシャーシを導入することにより、手積み・手降ろしのパートナー貨物がパレット荷役となり、荷役作業が320分軽減されました。